今回は、筆者が20代後半の頃に遭遇した、少し怖い出来事と、それを切り抜けた“とっさの一言”のエピソードです。思わず笑ってしまう結末ですが、同時に考えさせられる体験でもありました。
その瞬間、私の頭の中にひとつのアイデアがひらめいたのです。私はとっさに、満面の笑みでこう返しました。
「いや〜嬉しいわぁ。そんな若く見てくれて」
少し間を置いて、さらに続けます。
「これ、孫なんよ〜。うちの娘の子どもですねん」
一瞬、空気が止まりました。
男性も、周りの乗客も
「え? 孫……!?」
とざわつきます。
私はそのまま笑顔で畳みかけました。
「若いお兄ちゃんに褒めてもろて嬉しいわぁ。まだまだ私もいけるってことかなぁ」
すると男性は突然、
「あ、俺、次で降りるんで!」
と言い残し、バツが悪そうにそそくさと電車を降りていきました。
空気が変わった瞬間
男性が去った後、残された乗客の皆さんはまだ「ほんまに孫なんかな……?」と戸惑っている様子。
近くでずっと心配そうに見守ってくれていた方と目が合ったので、私は笑いながらこう伝えました。
「実は姪っ子と子どもです。まだ20代なんですけどね」
すると車内は一気に笑いに包まれました。
「いい切り返し!」
「ナイス判断!」
と声をかけてもらい、ようやく緊張がほどけたのを覚えています。
危険を感じたときの選択
あの時は正直、とても怖くてたまりませんでした。
それでも、正面から強く断るのではなく、場の空気を変えることで距離を取ることができました。
危険を感じたとき、無理に立ち向かうだけが正解ではないのかもしれません。
その場に応じて、自分を守るための選択をすること。
この出来事は、そんなことを考えさせてくれた体験でした。
【体験者:30代・筆者、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Anne.R
看護師として9年間、多くの人生に寄り添う中で「一人ひとりの物語を丁寧に伝えたい」とライターの道へ。自身の家づくりやご近所トラブルの実体験に加え、現在は周囲へのインタビューを通じ、人間関係やキャリアなど女性の日常に寄り添った情報を発信している。