テレフォンオペレーターとして、クレーム対応中、強い言葉を向けられ戸惑ったことがありました。
今回は、ある宿泊予約の対応中に起きた出来事をご紹介します。
重なる事情
私は、マニュアル通りの「お決まりの謝罪文」を伝えるのを一度やめ、一人の人間として、思い切って自分の等身大の言葉を口にしました。
「実は私も膝が悪くて、普段から杖を使っているんです」
「普通の道にある、小さな段差を越えるだけでもしんどいですよね」
一瞬の沈黙のあと、相手の声のトーンがわずかに変わったのを感じます。
「お出かけの道中も、危ない場所がないか心配になりますよね。お体は大丈夫ですか?」と続けて声をかけると、それまで強かった口調が少しずつやわらいでいきました。
「お部屋は少しでも移動が少なくて済むように、エレベーター近くをリクエストしてみますね」
その後の会話は非常にスムーズに進み、お互いが笑顔になれるような、温かいやり取りのなかで受話器を置くことができました。
変わる空気
電話を終えたあと、ヘッドセットを置いた手の力がふっと抜けました。
最初に感じていた緊張感とはまるで違う空気が、そこに残っていて。
正しさを伝えることばかりに意識が向いていた自分に気づきます。
「あなたにはわからない」という強い言葉は、「私の寂しさや不安に気づいてほしい」という切実なサイン。
自分も同じ立場だったから出た言葉だったのかもしれません。
けれど、同じ目線で言葉を交わすことの意味を、あらためて考えさせられました。
相手を想像し、気持ちに寄り添うことが、結果として伝わり方を変える。
気持ちを理解しようとする姿勢の大切さを実感した出来事です。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。