新しいことを誰かに教えるのは、思っている以上に根気がいるものです。特に相手が身近な家族だと、つい甘えや苛立ちが出て、きついことを言ってしまいそうになるときもありますよね。今回は、筆者の友人のエピソードをご紹介します。
母のスマホデビュー
70代になった母が、最近ガラケーからスマホに機種変更しました。
案の定、慣れないスマホに母は大苦戦。
毎日のように、「これはどうするの?」「変な画面になっちゃった! どうしたらいい?」と大騒ぎ。
気付けば、私が連日「マンツーマンのスマホ教室」を開くことになってしまいました。
とはいえ、私も仕事や家事に追われる毎日。
高齢の母に同じことを何度も教えるのは、正直大変です。
「そこはスワイプ!」「さっきも言ったでしょ」と、つい声を荒らげてしまうこともしばしば……。
私に叱られては「ごめんね、指が言うこと聞かなくて」と困ったように笑う母に、罪悪感を抱えていました。
古い記憶がよみがえる
「小さい『よ』は、どうやったら出てくるの?」
同じ操作を教えるのは、これで3回目。
きっと、私の顔には「やれやれ、またか……」と書いてあったのでしょう。
ふと母が操作を止めて私を見つめ、口元に笑みを浮かべて言いました。
「なんだか昔と逆ね。少し前まで、こうやってあなたにひらがなや漢字を教えていたはずなのに。あの頃のあなたのほうが、今の私よりずっと覚えが早かったわね」