知らなかった真実
「今入院していて、ちょっと厳しいかもしれない。会える時に会っておいた方が良いと思う」
パニックになった私はすぐに姉の入院している病院へ行ったのですが、姉はすでに意識がなく、数日後に他界してしまいました。
義兄に聞いたところ、がんの手術後から姉は体調がすぐれず、家のことをやるのが精一杯の状態だったとか。
息子の面倒も一生懸命見ていたのですが、寝ていることも多かったと聞かされたのです。
「お前の前では、病人の顔をしたくなかったんだと思うよ。普通の話ができるのが、あいつの救いだったんだ」
義兄の言葉に、私は崩れ落ちるような衝撃を受けました。
ごめんなさい
元気なんだろうと思い込み、自分と同じ物差しで見ていた私。
姉にとって、息子を塾へ連れて行くことも、一緒に勉強を見ることも、命を削るような努力が必要なことだったのです。それなのに私は、表面的な言葉だけで姉を傷つけてしまった……。
大切な人の「大丈夫」の裏側にあるかもしれない、小さなサイン。それに気づけるような優しさを持ち続けること。それが、姉が私に残してくれた一番の教えだと思っています。
【体験者:40代女性・主婦、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:RIE.K
国文科を卒業しOLをしていたが、父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄、多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子どもを養うために、さまざまな仕事の経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。