人生には、未来を大きく左右する重大な岐路が何度か訪れます。しかし、自分が選択したことが正解だったかどうかは、そこから長い時間がたってみないと分からないものです。今回は、筆者の友人の体験談をお届けします。

”名前を失った”日々

私は出産を機に仕事を辞め、夫の転勤についていく形で専業主婦になりました。

本当は続けたかった大好きな仕事、ここまで積み上げてきたキャリア。
自分で決めた選択でしたが、それらをすべて手放したことで私は「奥さん」や「ママ」という記号だけで呼ばれ、なんだか名前を失ったような気がしたものです。

スーパーでスーツ姿の凛とした女性を見るたび、くたびれた格好でレジ袋を提げた自分を惨めに思い、「あの人は仕事があるんだ、いいなぁ」「それに比べて、私は何をしているんだろう」と胸が締めつけられたのを覚えています。

取り残された恐怖

“収入がない自分には価値がない”
──今思えば、当時はそんな極端な考えに縛られていました。

夫からの「お疲れ様」という労りの言葉さえ素直に受け取れず、「養われている身なんだから当然だよ」と心の中で毒を吐く日々。

家事や育児に追われながらも、ふとした瞬間に孤独が押し寄せ、自分だけが社会から取り残されているような感覚に何度も心が揺れました。