生き方の選択肢が広がった現代、「結婚だけが幸せの形ではない」と考える女性も増えています。しかし、それゆえに親世代との価値観のズレに悩むことも少なくありません。今回は、筆者の友人の体験談をご紹介します。
すれ違う父と娘
私が三十代に突入してからというものの、実家に帰省するたび、父は「いつまで独身でいる気だ」「お前が思っているより、女が独りで生きていくのは大変なんだぞ」と、小言を並べていたものです。
私はそのたびに「仕事が楽しいし、友達もたくさんいる。結婚しなくても私は幸せだもん!」と反論し、最後には険悪な空気になるのがお決まりでした。
父は昔ながらの古い価値観で生きている人で、女性の幸せは家庭を持つことだと信じ込んでいました。
対して私は、独りでも自由に、自分らしく生きたいと願っていたのです。
正反対の考えを持つ二人の間には、いつの間にか高い壁ができていました。
遺品の中から見つけたノート
私が四十歳になったばかりのころ、父が急逝しました。
突然のことに呆然としながらも、ようやく日常を取り戻し始めた四十九日のあとのことです。
遺品を整理していた私は、父の書斎の引き出しから、見慣れない一冊のノートを見つけました。
表紙には「独りで生きるための備忘録」という文字。
中をめくると、信頼できる弁護士の連絡先や、老後の介護施設の資料、家の修繕を安心して頼める地元の業者の名前まで、驚くほど具体的なリストがびっしりと書き込まれていたのです。