筆者の元職場で起きた出来事です。保育実習生のAさんは、ベテラン上司のBさんから「あなたには向いていない」と毎日叱責され、涙をこらえていました。そんなある日、Aさんの実習担当教員・Cさんが園を訪問します。Cさんの顔を見た瞬間、Bさんだけが突然顔色を変えました──。その人物は、Bさんにとって忘れられない“ある存在”だったのです。
翌日から、指導が変わった
次の日から、BさんのAさんへの接し方は静かに変わりました。荒げた声は消え、言葉は丁寧になり、失敗したときにはそっと隣に来てフォローするようになりました。
それは単に体裁を整えたというより、Bさん自身が「自分がどう育てられたか」を思い出したかのような変化でした。
Aさんは理由を知りません。ただ「なんだか先生が変わった」と感じ、久しぶりに保育の仕事の魅力を感じる時間を取り戻しました。
実習最終日、Aさんが私に言った言葉
実習最終日、Aさんは私に「最初は辞めようと思ったけれど、最後まで続けてよかったです」と笑顔で言いました。
Bさんが胸の奥で何を思ったのかは、本人だけが知っています。でも私は思います。誰かに支えられた経験がある人は、きっと誰かを支えられる人になれる。Bさんもそれを思い出したのかもしれない、と。
【体験者:30代・筆者、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。