憧れの従兄
私には、4つ年上の憧れの従兄がいました。
彼は、やんちゃで同級生の男子たちといたずらをしたり、非常に活発な少年でした。
でも、一番年下の私がいると、遊びのルールを私でもできるように簡単なものにしてくれる、優しいお兄ちゃんでした。
従兄は、我が家にもよく遊びに来ていました。
私たち姉妹と一緒にお風呂に入ったり、一緒の布団で寝たりして、まるで本当の兄弟のように過ごしていました。
そして、従兄は手軽にできるお菓子を作って、ご馳走してくれました。
「ほら、クッキー焼けたよ。食べてみて」
従兄が作ったクッキーは、少し焦げていましたが、とても美味しかったです。
「また作ってね!」
私がそう言うと、従兄はニコニコしながら頷いてくれました。
私にとって従兄と過ごす時間は、とても幸せでした。
身近なところに憧れの人がいる幸せな時間を、私は当たり前のように過ごしていました。
突然の別れ
しかし、その時間も父方の祖母の急逝で突然終わりを迎えました。
従兄の家族は、父方の祖父母と同居していましたが、祖父とはうまくいかなかったようでした。
祖母が生きている間は、何とか関係を保っていましたが、祖母が亡くなった後に状況は一変しました。
従兄の家族は、市内の別の地区に引っ越してしまいました。
そして、従兄も中学生になり、めったに会う機会がなくなってしまいました。
まだ小学校低学年だった私にとって、従兄と会えなくなるのは、とても悲しかったです。
私は、母に聞きました。
「どうして、急に転校しちゃったの?」
「それはね、大人の事情があるのよ」
母は、濁した答えしかしてくれませんでした。
その後、従兄について、いくつかの噂を聞きました。
中学校では、転校生ということでいじめられたらしい。
高校は、当時不良少年と言われる学生が多く通う学校に進学したらしい。
「あんなに優しかった従兄が……?」
私は、信じられませんでしたが会う機会もなく、真実を確かめることもできませんでした。