私が言いたかったことを代弁してくれた救世主
転機は、地域のボランティアスタッフである70代のK子さんの一言でした。ある日のこと、N美がいつものように袋にお菓子を詰め始めた瞬間、K子さんがにこやかに声をかけたのです。
「それ、今日ここにいるみんなが少しずつ出し合ったお茶代と、T子ちゃんの厚意で準備したものなのよ。集まったみんなでその場の時間を楽しむためのものだから、ここで味わいましょうよ」と、穏やかながらも、場にいる全員が「そうよね」と頷けるような明るいトーンで言ってくれたのです。
その言葉にN美はピタリと手を止めて赤面します。「ごめんなさい、つい……」と小さく謝り、持ち帰ろうとしていたお菓子を、袋からそっと元の場所に戻しました。
それ以降、N美がお菓子を勝手に持ち帰ることはなくなりました。むしろ片付けを手伝うようになり、「これ、おいしいからレシピ教えて」と話しかけてくるように。
善意の場は、その場のみんなの配慮で守られるもの。言いにくいことでも、「私のお願い」ではなく「みんなの大切なルール」として優しく共有することで、関係を壊さずに解決できるのだと実感したエピソードでした。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Miwa.S
事務員としてのキャリアを積みながら、ライター活動をスタート。持ち前の聞き上手を活かし、職場の同僚や友人などから、嫁姑・ママ友トラブルなどのリアルなエピソードを多数収集し、その声を中心にコラムを執筆。 新たなスキルを身につけ、読者に共感と気づきを届けたいという思いで、日々精力的に情報を発信している。栄養士の資格を活かして、食に関する記事を執筆することも。