心配と不安の中での義母の施設入所。しかし、認知症を患う義母の思いがけない一言で、家族の空気がふっと和らいだのです。「認知症も悪いことばかりじゃない」と感じた、筆者の友人Mさんの体験談です。
義母の一言で空気が変わった
ところが、入所後まもなく様子を見に行くと、義母は満面の笑みで、こう言ったのです。
「ここ、すごくいいのよ。ごはんもお風呂も、全部手伝ってくださるの。親切な宿だわ」
どうやら義母の中では、施設ではなく温泉旅館に泊まりに来た感覚だったようです。
「私、もうしばらく泊まりたいわ」
一瞬驚いたMさん。しかし、その明るい表情を見て、合わせることにしました。
「どうぞ。もうしばらく、のんびりしてください」
「え? いいの? うれしい!」
義母は子どものように喜びました。
予期せぬ「穏やかな時間」
「認知症も、悪いことばかりじゃないのかもしれないね。こんなふうに穏やかでいられる時間も、あるんだなって。おかげで、私たちもずいぶん助けられたよ」
思い通りに進まない現実に、振り回されてきた日々。
「大変になるはずだった未来」が、やさしく裏切られることもある。
思いがけず穏やかな結果になったことでMさんは安堵していました。
【体験者:50代・女性・会社員 回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。