筆者の話です。
父の入院中、そばにいる時間を何より大切にしていた頃のこと。
「少し寝るね」と病院を出た、その先で何が起きたのか。

少し寝るね

「これから帰って少し寝るね」
その日は、昼ごろに母と交代する予定の日。
父は入院中で、夜中に目を覚ますと不安そうに周囲を見回す人だったため、母と交代で付き添いをしていました。

私はその頃、何度も病院に泊まり込みをしていました。
夜中に目を覚ました父が、そばに誰かいるだけで落ち着くことを知っていたからです。
体力的には限界に近づいていましたが、そばにいることが当たり前の時間になっていました。

予定外の寄り道

病院を出たあと、本来ならそのまま家に帰るつもりでした。
けれど、ふと友人に連絡を取り、会う約束をしてしまったのです。
病院と家と会社を行き来する生活が続いていて、心が折れないためには、ほんの少しだけ、別の空気を吸いたくなっていました。当時の私にとって、それは必要な「息継ぎ」だったのだと思います。

友人の家に立ち寄り、短い時間を過ごしたあと、帰路に。
外は少し暗くなっていて、疲れが抜けきらない体でゆっくり自転車をこいでいました。
その時、向かい側から来たバイクをよけようとして、バランスを崩してしまったのです。

思わぬ事故

倒れまいとよりかかった塀に膝をついた場所が悪く、強い痛みが膝から一気に走りました。
痛みで動けずにいると、近くにいた人が救急車を呼んでくれ、運ばれた病院で診察してもらうと、膝を十二針を縫うケガでした。