実はただのお客さんではなかった
前のお客さんの受付が終わり、私たちも無事に入店でき、カラオケを楽しんでいると、たまたまトイレから出た際に、お店の隅の方で先ほどの受付の店員と個人情報を漏らされていた客が話しており、話し声が聞こえてきました。
実はお客さんではなく、接客態度をチェックするために客を装って来店していた、いわゆる覆面社員だったのです。
「お客様とのコミュニケーションは大切ですが、個人情報の扱いと状況判断が全くできていませんね」冷静ながらも厳しい指摘に、店員は顔を真っ赤にしてうなずくばかり。列ができている中での雑談、しかも住所に触れる行為が重大な不備であることを、その場ではっきりと指導していました。
その光景を目の当たりにした私は、その通りだと感じました。後日、カラオケに行った際に例の店員が「お待たせして申し訳ありません」と、以前より丁寧かつ迅速な対応をしている姿を見かけたとき、あの出来事が無駄ではなかったのだと思いました。
親しみやすさはその人にとって大きな武器になりますが、使いどころを間違えれば信頼を失う危険性も秘めている。相手の立場、情報の重要性、そして場の空気を読むことこそ、接客に求められる真のスキルなのだと、強く感じた出来事でした。
【体験者:30代・筆者、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Miwa.S
事務員としてのキャリアを積みながら、ライター活動をスタート。持ち前の聞き上手を活かし、職場の同僚や友人などから、嫁姑・ママ友トラブルなどのリアルなエピソードを多数収集し、その声を中心にコラムを執筆。 新たなスキルを身につけ、読者に共感と気づきを届けたいという思いで、日々精力的に情報を発信している。栄養士の資格を活かして、食に関する記事を執筆することも。