筆者の体験談です。
定年後に「親と旅行へ行こう」と思い立ち、計画を始めた私。
しかし準備を進めるうち、思い描いていた理想が静かに揺らぎ始めます。

計画を始める

「定年したら、親とゆっくり旅行に行こう」
そう思い続けてきましたが、実際に計画を始めてみると、想像していたほど簡単ではありませんでした。
仕事に追われる日々のなかでは、先の楽しみとして浮かべるだけで、少し気持ちが軽くなるもの。

時間に余裕ができた今なら、行き先も日程も自由に選べる。
行きたいといっていた場所にも連れていくことができる。

そう信じて、実際に旅行の計画を立て始めたのです。
カレンダーを開き、候補地を調べる作業は、最初こそ前向きな気持ちでした。

重なる現実

ところが、最初につまずいたのは荷造りでした。
自分の分だけでもひと仕事なのに、親の持ち物まで考えると、確認することが一気に増えていきます。

薬は足りるか、履き慣れた靴はあるか。
移動手段も同じです。
電車や飛行機の乗り降り、乗り換えの回数、待ち時間。
どれも「余裕を見て」が前提になりました。

観光地選びでも、以前なら真っ先に浮かんだ名所や景色より「どれくらい歩くのか」「途中で座れるか」が気になります。
条件を一つずつ絞るたび、選択肢は静かに減っていきました。