親に叱られた記憶は、成長とともに少しずつ薄れていくもの。けれど、中には印象に残って一生忘れられない記憶もありますよね。大人になって初めて親の気持ちが分かったという方もいるのではないでしょうか。今回は、筆者の友人の体験談をご紹介します。

放任主義で大らかな父

私の父は、いわゆる「放任主義」を絵に描いたような人でした。

テストの点数が悪くて落ち込んでいても「まあ、元気なら一番だ」と笑い飛ばし、宿題を忘れても「そんな日もあるだろう」と、全く気にする様子もありません。

母はそんな父の様子に苦い顔をしていましたが、父の大らかさが家庭の空気を和らげていましたし、勉強よりも外で元気に遊ぶことをよしとする父のことが、私は大好きでした。

私にとって父は、いつだって自分の味方でいてくれる、優しくて甘い存在だったのです。

臆病な私がついた嘘

そんな父が、1度だけ烈火のごとく怒ったことがあります。
私が小学5年生の時でした。

放課後、友人のサキちゃん(仮名)と公園でボール遊びをしていた際、私の投げたボールが勢い余って近所の家の立派な植木鉢を割ってしまいました。

ガシャン! という音に血の気が引き、怖くなった私は、駆けつけてきた家主の方に「サキちゃんが投げたボールが当たったんです」と、とっさに嘘をつきました。

混乱するサキちゃんの顔を見ることもできず、私はただ自分の保身のために友人を裏切り、逃げるように帰宅しました。