筆者の話です。重度知的障害を伴う自閉症の息子二人を育てています。日々の介助に追われる中、月に一度訪れるPMS。ある日、感情が爆発し子どもたちを傷つけてしまった私は、家族と向き合い、新たな一歩を踏み出すことを決意します。

感情の爆発と後悔

そしてまた、感情が抑えきれない時期がやってきました。

それは生理予定日の前日のことでした。

朝から次男がパニックを起こしていました。

いつも使っているスプーンが見当たらないだけで、1時間以上泣き叫んでいました。

私は必死で同じスプーンを探しましたが、見つかりません。

「これじゃダメ? 同じ色だよ?」

でも、次男には通じず、さらに泣き叫び続けます。

その横で、長男が冷蔵庫を開けて中身を全部出し始めました。

これも彼のこだわり行動の一つです。

普段なら「ダメだよ、やめてね」と優しく止められるのですが、その日の私はどうしても怒りの感情が止まりませんでした。

「やめなさい!」と思わず自分でも驚くような大声で怒鳴ってしまいました。

長男はビクッとして、その場に固まりました。

次男は私の怒鳴り声に驚き、押し入れの隅に隠れてしまいました。

その瞬間、長男が悲しそうな表情になり、涙をぽろぽろとこぼして泣き出しました。

彼は感情を言葉にできませんが、「お母さんの変化」を敏感に感じ取り、悲しんでいることがはっきりと伝わってきました。

子どもたちに怖い思いをさせてしまった。

その事実が私の心に突き刺さり、私はその場に座り込んでしまいました。

その夜、夫に「もう限界かもしれない……。私、子どもたちを傷つけてしまう」と涙ながらに話をしました。

夫は疲れた表情で言いました。

「わかった、俺ももっと手伝うから」

「ショートステイの利用を増やそう。少しでも休める時間を作らないと」

その言葉に、少し救われました。

前へ進む決意

翌日、私は子どもたちに向き合って、話しかけました。

長男と次男は言葉を理解することは難しいのですが、私は彼らの手を握って何度も謝りました。

「お母さん、昨日怒りすぎてごめんね」

長男は私の顔をじっと見て、私の頬を触りました。

次男は私の膝に頭をのせてきました。言葉を超えたところで、何かが伝わり、許されたような気がしました。

それから私は、生理予定日の前後数日を「要注意期間」として夫と共有するようにしました。

その期間は迷わずショートステイやヘルパーさんの外出支援を予約し、プロの手を借りることにしました。

私もその期間は少しでもストレスを減らすために、食事は簡単なものにし、家事も最低限に留めています。

完璧な解決策ではないですし、今でも自己嫌悪に陥ることはあります。

障害の有無にかかわらず、子どもを育てることは想像以上に大変です。

そこにPMSが加わると自分が壊れそうになりますが、それでも諦めません。

家族と向き合い、自分の弱さも認めながら、一日一日を乗り越えていきます。

完璧な母親にはなれないかもしれませんが、今の私にできる精一杯です。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。