筆者の体験談です。重度の知的障害を持つ長男のために入会したダンスサークルで動画編集を買って出た私。代表を助けたい一心で次々と作品を完成させていきますが、動画はなかなかアップされず、サムネイルも使われていない。善意が空回りした先に気づいた、本当の「助け合い」とは。

ダンスサークルとの出会い

私の長男には、重度の知的障害があります。

言葉でのコミュニケーションは難しいけれど、音楽を聴くと体を揺らして笑顔を見せます。

ある日、イベントでダンスサークルが踊っている様子を見て、長男は楽しそうに目を輝かせてリズムをとっていました。

「ダンス、やってみる?」と聞くと、珍しくはっきりと頷きました。

すぐにネットで検索して障害者向けのダンスサークルを探し、そのサークルの代表の方に連絡を取り、見学に行きました。

代表は学校の先生をされている方で、週末の空いた時間にこのサークルを運営していました。

「こんにちは。よろしくお願いします!」とサークルの方々にも挨拶し、体験レッスンが始まりました。

そこで長男が楽しそうに体を動かしている様子を見て、私は入会を決めました。

動画編集の申し出

手続きの際に代表の方と少しだけお話をしました。

「最近、YouTubeで活動の様子をアップし始めたんです。でも、なかなか時間がなくて……」

「あ、私、動画編集できますよ」と、私は思わず名乗りを上げました。

「本当ですか? それは助かります」と言って代表は嬉しそうでした。

「LINEグループに動画をあげますので、もし時間があればお願いできますか?」と言われ、私は張り切って「もちろんです!」と答えました。

これからお世話になる場所で少しでも役に立ちたい、仲間として認めてもらいたい。そんな気持ちもあり、私は人一倍意気込んでいました。

そして最初の動画素材がLINEグループにあがってきました。

先日のイベントでのダンスを撮影した5分ほどの動画でした。

私はすぐにパソコンを開き、編集を始めました。

不要な部分をカットし、BGMを入れ、テロップをつけます。

さらに、サムネイルも作成しました。明るい色を使って、「〇〇ダンスサークル」という文字を目立つように配置しました。

完成した動画とサムネイルを、代表にLINEで送りました。

「編集しました! サムネイルもつけましたので、よかったら使ってください」

「ありがとうございます! 助かります」代表からは感謝のメッセージが返ってきました。

数日後、その動画はYouTubeにアップされており、私が作ったサムネイルも使われていました。

「このサークルのためにお役に立てた!」と思い、嬉しかったです。

違和感の芽生え

その後も、LINEグループに動画素材があがるたびに、私は編集していきました。

2本目、3本目と毎回、丁寧にカットして、BGMをつけて、サムネイルを作りました。

「代表が忙しいだろうから、すぐに使えるように完成形で渡そう」

そう思って、どんどん作り続けました。

しかし、少しずつ違和感を感じ始めました。

2本目の動画は、送ってから2週間後にアップされ、3本目は、1ヶ月経ってもアップされませんでした。
「あれ? もしかして忙しいのかな?」代表は学校の先生でもあるから、仕方がないかもしれないと思いました。

でも、4本目、5本目と作っても、アップされる気配がありません。

LINEで送った動画は保存期間があり、古いものはリンクが切れ始めていました。

「せっかく作ったのだから、早く使ってもらわないと」という焦りもあり、「あ、前の動画、リンク切れちゃってますね。もう一度送りますね」私は再度、動画を送りました。

代表からの返信は「ありがとうございます」という短い言葉だけでした。

数週間後、ようやく動画がアップされました。

けれど私が作ったサムネイルは使われず、動画だけが、シンプルにアップされていました。

「あれ? サムネイル、使ってくれなかったんだ」と思うと、少し寂しかったです。

6本目の動画を作った時、私はふと立ち止まりました。

編集しながら、心のどこかでモヤモヤしていました。

「私の作った動画、あまり使ってもらえてないのかな?」

でも、すぐにその考えを打ち消して、また動画を送りました。

しかし、今度は返信すら来ませんでした。

1週間、2週間経過。

既読はついているのに、代表からの返信がありません。

私は「何か気に障ることしたのかな?」と不安になりました。