訪問看護師として働く私。技術と経験には自信があり、義父の看取りが決まった際も「私が完璧なケアをして恩返しをする」と意気込んでいました。しかし、義父は私の申し出を頑なに拒否します。その理由とは? 友人が、体験談を語ってくれました。

看護師の私だからこそできる「最高の親孝行」

私は訪問看護師として働いています。

お年寄りのケアは天職だと思っており、技術と経験には自信がありました。

だからこそ、離れて住んでいた義父の病気が分かり、在宅での看取りが決まった時、真っ先にこう思ったのです。

「お義父さんの最期は、私がこの手で看てあげたい」

今までお世話になった恩返しができる。プロの私なら、床ずれも作らせないし、痛みもコントロールできる。体を拭いて清潔にする清拭(せいしき)だって誰より上手にしてあげられる。

私の頭の中には、完璧なケアプランが出来上がっていました。他人に任せるより、家族でありプロである私がやった方が、義父も安心するはずだ。そう信じていました。

頑固な義父がケアを拒んだ、切実な理由

しかし、私の申し出に対する義父の反応は、予想外のものでした。

「Aさん(私)には、世話になったらいかん。他人のほうが気楽だ」

義父は頑として首を縦に振りませんでした。

「仕事なんだから慣れています」「他人より家族の方がいいでしょう?」と食い下がりましたが、義父は「嫁に迷惑はかけられない」の一点張り。