筆者の話です。
実家へ行くたび、母から「捨てる前に一度見せてね」と言われてきました。
けれど『いつか使う』はなかなか叶わず、物だけが静かに積もっていった日々の気づきです。
実家へ行くたび、母から「捨てる前に一度見せてね」と言われてきました。
けれど『いつか使う』はなかなか叶わず、物だけが静かに積もっていった日々の気づきです。
母の「見せてね」
実家を訪ねると、母は必ず「捨てる前に一度見せてね」と声をかけてきます。
タオルや食器、雑貨など、家で余っている物を持っていくと、母は目を輝かせて受け取ってくれました。
「これ、誰か使うかもしれんよ」と言いながら、大切そうに抱えていく姿を見ると、私もつい「じゃあ、お願い」と渡してしまっていたのです。
そのときは、母が喜ぶならいいかと、深く考えていませんでした。
増えていくもの
けれど何度か通ううちに、気になる光景が増えました。
棚の上には前に渡したタオル、床の隅には見覚えのある紙袋。
母は「いつか使うよ」と言うけれど、その『いつか』は訪れる気配がありません。
物は減るどころか増え、部屋の中が少しずつ窮屈になっていくのがわかりました。
それでも母の前では言えず、私も「また持っていくね」と笑ってしまう。
その軽さが、どこかでモヤとして胸に残りました。