夫の優しい言葉に救われたはずが……
共働きで毎日バタバタの私は、家事や仕事に追われる日々を過ごしていました。
そんなある日、仕事から帰ると、夫が「たまには休めよ。今日は俺が夕飯作る」と言ってくれたんです。その言葉は、連日の疲れに追われていた私にとって、一瞬、本当に救いのように感じられました。
「ありがとう」と言いながらも、正直少し驚きました。
夫が料理をするなんて、結婚してから一度もなかったからです。
リビングでゆっくりしていると、包丁の音とフライパンのジュウという音が響き、心が温かくなりました。キッチンから美味しそうな匂いが漂ってくるたび、私は夫の優しさに心から感謝しました。
キッチンで見た“優しさの裏側”
1時間後、テーブルに並んだのはカレーとサラダ。
「すごいじゃん!」と褒めると、夫は得意げに「簡単だよ」と笑いました。
確かに味は悪くなかった。でも、キッチンに行って目にした光景に、私は絶句しました。
シンクには山のような鍋と皿、床にはこぼれたカレーが固まり、まな板には使いかけの野菜が散乱していたのです。
私は思わずため息をつきました。
「料理」の後にある「後片付け」は、家事として夫の視野に入っていないのだと気づき、
「ね、ちょっと片付けは……」と言いかけた瞬間、彼が言いました。
「俺がご飯作ったんだから、片付けくらいしてくれよ」
その言葉に、胸の中で何かがプツンと切れました。
「ありがとう」と言えない夜
「休んでいいよ」って言ったのは夫なのに。
私は休むどころか、彼の後始末をしている自分に気づき、ショックを受けました。
しかも、片付けを終えたころには夫はソファで寝落ちしていて、テレビの音だけがむなしく響いていました。
その姿を見た瞬間、「優しさって何だろう」と思いました。
翌朝、夫は「昨日のカレーうまかったろ?」と笑顔。私は「うん、美味しかった」とだけ答えました。怒る気力も、もう残っていませんでした。