筆者友人A子の話です。
「危ないからダメ!」とつい先回りしてしまう私と、一見なにもせず「見てるだけ」の夫。子育てスタイルの違いにモヤモヤしていた私ですが、ある日の公園での出来事が、その認識を大きく変えることになります。「守る」ことと「信じる」こと、夫婦だからこそできる役割分担に気づいたエピソードです。

「パパ、ちゃんと見ててよ!」募るイライラ

私はいわゆる「転ばぬ先の杖」を用意するタイプのお母さん。もちろん、私の「危ないから守りたい」という思いは、わが子への愛情そのものです。

小さな子どもが怪我をしないよう、失敗して泣かないよう、常に先回りして「それは危ないよ」「こっちにしなさい」と声をかけます。

対照的なのは、夫。
公園に行っても、ベンチに座ってじっと見つめているだけだったり、子どもが少し危なっかしいことをしていてもすぐに止めなかったり。
私には、それが「無関心」や「怠慢」にしか見えませんでした。
「私がこんなに気を張っているのに、なんでパパは他人事なの?」
週末の公園はリフレッシュの場であるはずが、夫へのモヤモヤを募らせる場所になっていたのです。

公園での攻防。「危ない」と止める私、「待って」と言う夫

ある晴れた日、いつものように公園で遊んでいると、息子が自分の背丈よりも高い新しいアスレチック遊具に興味を示しました。
まだ3歳になったばかりの息子には、少し難易度が高そうに見えます。私は反射的に「それはまだ無理よ! 危ないからやめよう」と駆け寄ろうとしました。しかし、その腕を掴んで止めたのは夫でした。

「ちょっとやらせてみたら?」
「何言ってるの? 落ちたらどうするのよ!」
私は声を荒らげそうになりましたが、夫は珍しく真剣な目で「すぐ助けられる距離にいればいい。手出しはするな」と譲りません。
私はしぶしぶ、喉まで出かかった注意の言葉を飲み込み、ハラハラしながら見守ることにしました。