空いているロッカーを自由に使うはずのジムで出会った、歴12年の“常連さん”。強い圧にひるみつつも、少しの言葉選びで空気が一変した筆者のエピソードをお届けします。
ロッカーの前に置かれた大きなバッグ
ジムで運動を終え、使っていたロッカーへ戻ると、前に大きなバッグがドンと置かれていました。「ロッカーが開かなくなるのに……」と首をかしげつつ脇へ寄せて扉を開けました。
その瞬間、背後に気配を感じて振り返ると、そこにはバスタオルを巻いた年配女性。強めのまなざしでこちらを見つめ、低い声でこう言いました。
理不尽な“専用ロッカー”の主張
「そこ、私のロッカーなんだけど」
このジムは空いているロッカーを自由に選ぶ仕組みです。なのに彼女は一歩こちらへ寄り、当然のように続けました。
「私ね、12年。毎日そこで着替えてるのよ。知らない? みんな私のために空けてるの」
あまりの断定に、思わず言葉が詰まりました。