今回は、筆者の知人A子とその夫B太が辿り着いた夫婦での家事分担にまつわるエピソードを紹介します。
正社員といっても仕事に充てる時間は異なる
私の知り合いのA子は30歳のときにB太と結婚しました。子どもが生まれるまではそれぞれ仕事を続け、一緒に住んでも、独身時代と生活は大きく変えないことにしました。
そこで、問題となるのが家事分担です。近年は、「家事は夫婦で平等に」「イマドキの若い男性は家事に積極的」といわれることが多いですが、A子とB太も世間のこうした声の影響も受けて、家事を夫婦で平等にすることにしました。
とはいえ、二人は一日のうち仕事に充てている時間が異なります。A子は9時から17時の勤務で、残業は基本的にありません。一方、B太は帰宅が23時を過ぎることも多く、早くても帰宅は19時を過ぎます。
それにもかかわらず、A子は「家事は平等」にこだわってしまい、日付が変わる直前に帰宅したB太に皿洗いやお風呂掃除を任せていました。B太自身、「今日は僕の番だ」と思っており、疑問も不満もありませんでした。
お互いを思い遣り、できることをする
家事を平等に分担していた二人ですが、B太が風邪を引き、長期間にわたって寝込んだことをきっかけに、A子は夫婦の在り方を考え直しました。
世間では「共働き夫婦であれば、家事は平等」と言われているものの、A子はお互い正社員といえども、勤務時間も仕事量も大きく違い、家事を必ずしも平等に分担する必要はないと感じたのです。むしろ、今の生活では、B太の負担ばかりが重く、自分の方が負担が軽いことを察しました。
A子はB太の収入があるからこそ、都心部で生計を立てられることにも気づき、家賃などをB太が負担してくれていることを考えると、自分が家事の大部分を担うべきだと考えを改めたのです。
B太の家庭内での負担が軽減され、休息時間が増えたからなのか、休日に出かける機会が増えたり、夫婦間のコミュニケーションが増えたりしました。また、B太は皿洗いを休日に率先して担当してくれたり、休みの日には外食にさそってくれることも増えました。
A子はお互いがそれぞれできることを行い、助け合うことが大切だと気づきました。それぞれの心に余裕があれば、二人で楽しめる時間も増えると思っています。
【体験者:30代・会社員女性、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:太田あやこ
大学でジェンダーや女性史を学んだことをきっかけに、専業ライターとして活動中。自身の経験を活かしながら、幅広い情報収集を行い、読者に寄り添うスタイルを貫いている。人生の選択肢を広げるヒントを提供し、日々の悩みに少しでも明るさをもたらせるよう、前向きになれる記事づくりに取り組んでいる。