筆者の話です。
初めて「推し活」で札幌ドームへ行ったときのこと。
「雪ってこんなにロマンチックなんだ」と見上げた瞬間は、まだ観光気分でしたが、手すりをつかんだ瞬間、指先がかじかんで――「雪国の現実」を知りました。

手すりの「冷たさ」にハッとする

滑るのが怖くて、ようやく手すりのある端まで移動しました。
けれど――その瞬間、ステンレスの感触が想像以上に冷たく、指先が一気にかじかみました。

「えっ、こんなに!?」と思わず声が出るほど。
凍てつく空気の中で、雪国の人たちは日々この寒さと付き合っているのだと、身をもって感じたのです。

「ロマンチック」の向こう側

ようやくタクシーに乗車した頃には、手も足も感覚がなくなりそう。
それでも、雪に照らされたドームの外観は息をのむほど美しく、その光景に少しだけ救われました。

「雪ってロマンチックだけど、生活となると別だな」
そう実感したあの夜から、冬のニュースで「雪かき」の話題を見るたび、手すりの冷たさを思い出します。
あの日感じた冷たさは、今では「雪国で生きる人たちへの敬意」を思い出させてくれる合図。
華やかなイベントの裏にある「雪国の日常」に、静かな尊敬が芽生えた夜でした。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。