優しいA子が“便利屋扱い”される日々
私は息子の幼稚園で仲良くしていたママ友グループの一員でした。
最初は気さくで楽しく、毎日のようにLINEでやり取りをしていました。
ところがいつの間にか、「A子ならいいよね」と私だけが雑用を頼まれるようになったのです。
運動会の準備、役員の資料まとめ、先生への伝言……誰かが嫌がる仕事は、なぜか全部私に回ってきました。
「私がやった方が早いし」と最初は気にも留めていませんでしたが、気づけば当たり前のように扱われる日々。
感謝の言葉もなく、雑用が増えるにつれ、私の発言がグループLINEでスルーされたり、私だけ誘いの声がかからなかったりする回数が増えていき、心の中でモヤモヤが募っていきました。
無視、陰口……ついに限界が訪れる
ある日、運動会の後片付けをしていると、聞きなれた声で「断れないタイプって損だよね(笑)」という言葉が聞こえました。
胸がギュッと締めつけられ、持っていたペットボトルを強く握りました。
私の努力は、便利な人として見られていただけだったのか……。
その日の夜、グループLINEで「次の集まり、A子さん予約お願いね!」というメッセージが来ました。
誰一人、「A子さん、お願いしてもいい?」の一言もなく。
さすがに我慢の限界でした。私は深呼吸をして、指を止めずに返信しました。
「都合のいいときだけ頼らないで」
「私、便利屋じゃないです。都合のいいときだけ頼られるの、正直もう疲れました」
送信ボタンを押した瞬間、心臓がドクドクと音を立てました。
しばらくしてグループは静まり返り、翌朝には半分が退出していました。
残った数人からは個別に「ごめんね」「気づいてなかった」とメッセージが届きました。
正直、怒りもあったけれど、それ以上に肩の荷が下りた気がしました。
次の登園日、今まで私に冷たかったママの一人が「A子さん、私も手伝うね」と声をかけてくれました。
その一言が、何より救いでした。
“いい人”でいることが幸せとは限らない
私は、ただ波風を立てたくなくて、我慢を重ねてきました。
でも、言いたいことを言えたあの日から、心が軽くなりました。
“優しさ”と“自己犠牲”は違う。
本当に仲良くなれる人は、私を利用する人ではなく、私を大切にしてくれる人だと気づいたのです。
今は新しいママ友と少人数で穏やかな関係を築いています。自分の気持ちを正直に伝え、相互に尊重し合える人を選ぶようにしています。
あのときの勇気が、私の人間関係を救ってくれました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。