一生一緒を誓い合った夫婦ですが、夫婦の数だけ色々な物語があるものです。
今回は筆者の知人A子さんから、自身の体験談をお聞きしました。

スピード婚で念願のお嫁さんに

A子さんは会社関係で知り合った夫の容姿に一目惚れをして、猛アタックの末付き合いました。
付き合った期間は半年ほどで、そのままスピード婚!
A子さんは寿退社し、はれて夢だった専業主婦となったのです。

二人暮らしを始めて、A子さんは幸せいっぱいでした。
このまま幸せな結婚生活が送れると、そう思っていたのですが……。

なんで構ってくれないの!?

夫は会社の付き合いが多く、外食続きでした。
休日一緒に出掛けることもありましたが、会社の付き合いでゴルフへ行くことも少なくありません。
A子さんは夫の転勤に合わせて引っ越したため、周りに知り合いも友達も一人もいない、専業主婦なのです。
話し相手は夫しかいないのに、肝心の夫が家にいる時間はごくわずか。
あっという間に、夫に対する鬱憤が溜まっていったのです。

「昔はどんなに忙しくても、こまめに連絡をくれていた」
「もっと愛してくれていたのに」
「付き合っていた時のほうが、沢山一緒にいられた」

そんな怒りが込み上げてきて、気が付くと四六時中夫からの連絡を待つようになり、時には夫を責めることもありました。
そうして徐々に夫との間に亀裂が入り、夫婦仲は最悪になってしまったのです。

ちょっと聞いてよ! うちの夫酷くない!?(泣)

ある日、旧友から仕事で近くまで来ていると連絡があったので、A子さんは喜んで会いに行きました。
久しぶりに話せる人がいて、A子さんは今までの鬱憤を吐き出し続けました。
夫が自分を構ってくれないこと、愛情が足りないこと、周りに友達が一人もおらず孤独だということ。
そんな風に、友人に結婚生活を愚痴っていました。

友人は心優しい人なので、沢山共感してくれると思っていたのですが……。

全部夫が悪いって思ってた……

「それって、旦那さんが完全に悪いのかな?」
「一度旦那さんの気持ちになってみたらどうかな」

そんな風に冷静に言われてしまい、A子さんは心底驚きました。
そして、改めて自分のことを省みたのです。

確かに夫は忙しくてあまり家にはいられませんでした。
しかし、その分家にいる時には家事をしてくれたり、A子さんの好物を買って来てくれて一緒に食べたりといつも優しくしてくれていたのです。

A子さんはそれを当たり前だととらえ、「構ってくれない夫が全て悪い」と、本気で思っていました。
「自分を見てくれるのは夫しかいない」と、完全に夫に依存しきっていて、自分を変えるのではなく、夫を変えようと必死だったことに気付いたのです。

本当にごめんね。私はこれからもあなたと生きていきたい

その日の夜、今までの行いと、自分の気持ちを正直に夫に打ち明けました。
夫はいつの間にかA子さんの扱い方が分からなくなって、「帰宅するのも嫌な日がある」とまで言いました。
A子さんは大ショックでしたが、そのくらい夫に負担をかけていたのだと痛感しました。

それからA子さんはパートを始めて趣味も増やし、「夫だけに頼らないで、自分の視野を広げる」ことに集中しました。
気が付くと一人で鬱々と考える時間が減り、夫ともいい距離感が出来るように。

あの時、自分の過ちに気付かなかったら、険悪な雰囲気のまま離婚していたと思います。
どれだけ親しい相手でも、育った環境や考え方も違うので、思っていることは話した方がいい。
そんな当たり前に相手を大切にすることが、どれだけ重要か思い知った出来事でした。

【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yuki.K
飲み歩きが趣味の元キャバ嬢。そのキャリアで培った人間観察力でコラムを執筆中。すっと人の懐に入ることができる天然人たらしが武器。そのせいか、人から重い話を打ち明けられやすい。キャバクラ勤務後は、医療従事者として活躍していたが出産を機に退職。現在はこれまでの経験で得た人間関係を取材に生かし、主に女性の人生の機微を記事にするママライター。