夫は家族にお金を使わない人
Aの夫は昔から財布のひもが固く、家族にお金を使うことはほとんどありませんでした。生活費も「必要最低限だけでいい」という考えで、贅沢は一切なし。給料の管理は夫で、Aは生活費として決まった額を渡される生活でした。
子どもたちが大学に進学するときも「学費は出すが仕送りは最低限」と言い切り、「県外に出るだけで何も変わらない」と突き放したのです。「仕送りは生活費から出せ」と、増額の相談にも耳を貸さない。その姿を子どもたちも見ていました。
奨学金とバイトに追われる子どもたち
子どもたちはアルバイトを掛け持ちし、足りない分は奨学金を借りてなんとかやりくり。友達との付き合いで急に費用が必要になっても、夫は貸してはくれるのですが「いつまでに返すのか」と返済計画まで出させる始末。
Aもパートに出て仕送りを補いましたが「子どもたちに無理をさせてしまった」と胸が痛みました。にもかかわらず夫は、大学を卒業して就職した子どもたちに「大学の費用、いつになったら返してくれるんかな」と軽々しく口にするのです。その言葉を聞くたび、胸の奥がチリチリと焼けるような思いでした。
娘の痛烈な一言
ある日、帰省していた娘にまた同じことを言った夫。「そろそろ返してくれるんかな?」と冗談めかして笑ったその瞬間、娘がすかさず言い返しました。
「お父さんは? ばあちゃんに返したん? いつ返すん?」
夫自身も県外の大学に進学し、義両親から仕送りを受けて大学を卒業。返金したことなど一度もなく、足りなければ振込依頼をしていたこともAは義両親から聞かされていました。なのに、子どもには返済を求めていたのです。娘に突きつけられた瞬間、夫は黙り込んでしまいました。
因果応報を実感した瞬間
自分がやっていないことを子どもに求めるな──。Aは心の中でそうつぶやきました。
まさに因果応報だと痛感した出来事。娘の鋭い指摘は、夫にとって鏡を突きつけられる瞬間だったのでしょう。
以来、「いつ返してくれるん?」という発言はほとんど聞かれなくなりました。
家族に放った言葉が、巡り巡って自分に返ってきたのだと感じています。
【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。