日焼け止めすら拒否する小学生の息子が、修学旅行に「化粧水を持って行く」と言い出しました。その驚きの理由とは……? 友人が、体験談を語ってくれました。

突然の美容男子宣言

ある日の夕食時、小学6年生の息子が突然、衝撃的な一言を発しました。

「ねえ、おれ、修学旅行に化粧水を持って行くから」

私は耳を疑いました。

普段、朝の忙しい時間に「日焼け止めを塗りなさい」と何度言っても、「ベタつくから嫌だ」と拒否し、肌の手入れなど全くしない息子。

その子が、今更何を言い出したのかと、聞いてみました。

「突然どうしたの? 宿泊学習のときは化粧水とか乳液は持って行けなかったでしょう?」

すると、息子は得意げに言いました。

「今回は持って行っていいんだよ。おれのクラスに子役の子がいるじゃん。だから、肌がかさかさになったら大変なんだよ」

子役タレントのための「驚きの配慮」

息子から話を聞いて、状況を理解しました。

息子は、テレビや雑誌で活躍しているAさんと同じクラス。

プロとして肌のコンディションを保つ必要があるAさんのために、学校側が特別に化粧水や乳液の持参を許可した、ということのようです。

「Aさんだけに許可を出すと不公平になる。だから、全員に『持ってきていいよ』と言ったのか」

と、学校側の判断を理解しました。

子役がいるクラスならではの、柔軟かつ公平を期すための、時代を反映した驚くべき配慮です。

「許可が出たから」で激変した息子

しかし、私が一番笑ってしまったのは、その許可に乗じた息子自身の変化。

息子は美容の「び」の字にも興味がないはずなのに、「せっかく許可が出たんだから」と、なぜか持っていく気満々。

「ママの引き出しにあるやつ、借りるね」

と、普段見向きもしない私のスキンケア用品を物色し始めたのです。

結局、息子は荷物の中に、小さなボトルの化粧水を詰めました。

そして修学旅行から帰ってきた息子。

案の定、その化粧水が一度も使われなかったことを知り、私はまた笑ってしまいました。

今回の修学旅行は、息子の「美意識」の大きな転機となった、忘れられないエピソードとなったのです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。