静かな喫茶店に響いた「信じられない爆音」
先日、路地裏にある喫茶店へ立ち寄ったときのこと。
そこは昔ながらの雰囲気で、珈琲の香りが漂う、知る人ぞ知る静かな隠れ家です。
席に着くと、隣には20代くらいの女性2人組が。
最初は談笑程度でしたが、やがてスマホを取り出し、信じられないほどの音量で動画を再生し始めたのです。
「ギャハハ!」
「超うける!!」
笑い声もどんどん大きくなり、他の客も眉をひそめています。
私は、「これはさすがに非常識だろう」と思いながらも黙っていました。
レトロな「黒電話」が鳴り響いて
その時です。
店の奥で「ジリリリリリ!!」と、昔懐かしい黒電話が鳴り響きました。
驚いて振り向くと、壁に黒電話がかけてありました。
女性たちは大ウケし、「うける! 教科書で見たやつじゃん!」と席を立って写真を撮り、爆笑。
マスターの「柔らかい一言」とまさかの結末
ところが次の瞬間、マスターがゆっくりと女性たちに近づき、柔らかい口調でこう言いました。
「お客様にゆったりとした時間を味わって欲しいと、この店はBGMも小さめにしています。楽しい話し声ならまだしも、動画で音を流したり、写真撮影したりというのはご遠慮いただけますか?」
女性たちは一瞬固まり、周囲の客の視線に気づいた途端、顔を真っ赤にしてスマホをカバンに入れました。
小声で「すみません、お会計します」と言うと、そそくさと店を出ていったのです。
静けさが戻った店内で、マスターが小さく「やれやれ」と笑った瞬間、私も心の中でガッツポーズ。
あの黒電話は、単なるレトロな電話ではなく「非常識なお客を静める合図」だったのかもしれません。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。