子ども同士のつながりもあるママ友には、頼まれたことを断るのが気まずい場面もありますよね。しかし、曖昧な態度でいては相手にこちらの思いは伝わりません。今回は筆者の友人が興味深いエピソードを聞かせてくれました。

大切な絵本

先日、ママ友のM美が親子で我が家に遊びに来た時のこと。
M美の3歳の息子が、リビングにあった絵本を手に取って読み始めました。

それは、私の伯父が海外出張の際に、外国の古本屋で買ってきてくれた絵本。
独特の色使いと温かいストーリーで、息子も私も大切にしているものでした。

M美の息子は絵本を抱えたまま離しません。
それを見たM美は「あら、よっぽど気に入ったのね。ねぇ、これ、借りて帰っていい?」と尋ねてきました。

大切な本なので破られたり汚されたりしないかと心配になり、返答を迷っていると……。

まさかの発言に唖然

私の返事を待たず、M美は強引に「じゃあ、借りてくね!」と言って、絵本を手に抱えた息子と帰ってしまったのです。

それから数週間たっても絵本は返却されず、私はモヤモヤ……。
しかし、大切な本なので、意を決してM美にLINEを送りました。

「この前貸した絵本、そろそろ返してもらってもいいかな?」

すると、M美からはありえない返信が。

「ごめん、うちの子がすっかり気に入っちゃって、毎日読んでるの。もう自分の本だと思ってるみたい(笑)このままもらったらダメかな?」

人から強引に借りておいて、「ちょうだい」だなんて。あまりの厚かましさに驚いてしまいました。

思いがけない発見

私は「悪いけど、すごく大切な本だから、返してほしい」と返信。

するとM美は、間髪入れずに「えー、ケチ! たかが絵本1冊でしょ? そんなに大事なものなら貸さなきゃいいじゃん!」と逆ギレ。
無理やり持ち帰ったのはM美なのに……。

その時、ふと私は「あること」を思い出し、オークションサイトでその絵本の取引価格を調べました。
すると、かなりの高値で取引されていることが判明。
その絵本はもう絶版になっていて、マニアの間では希少なものだったのです。

新たな決意

私はオークションサイトのスクリーンショットを撮り、M美に送りました。

「この本、実は絶版で、今はこれくらいの値段で取引されてるみたい。どうしても欲しいなら、同じ値段で買い取ってくれるならいいよ」

すると、M美は慌てて絵本を返却しに来ました。

今回の件で、大切な物の貸し借りは慎重に、時にはハッキリ断る勇気も必要だと心に刻みました。

絵本は無事に戻ってきましたが、M美との間にできた溝は深く、もう以前のような付き合いはできないでしょう。

これからは、もっと相手を見極めて、付き合い方を考えようと心に決めた出来事でした。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。