時として子どもは、大人が思いもよらない言葉で私たちを驚かせてくれます。筆者の友人・美香さん(仮名)の息子・ケンくん(仮名)が校外学習で見せた、困難を笑いに変える驚きの一言とは。母親も教師も救われた、心温まるエピソードをお伝えします。
車いすが必要な小学生
美香さんの息子・ケンくんは、3歳の頃に難病を患い長期入院を経験。
普段は歩けるものの、階段や長距離移動では車いすを使うことが多い日々です。
小学生の息子が車いすを使うと、どうしても人の視線が集まります。
母親の美香さんは慣れたふりをしていても、胸の奥がざわつく瞬間があるのです。
ある日、校外学習があり、美香さんが付き添うことになりました。
博物館や地域を巡る一日で、長い距離を移動する予定。
いつものように「ジロジロ見られて、何か言われないかな」と内心ドキドキしている美香さんでした。
思わず出た“素直すぎる”一言
博物館や地域を巡る長い道のり。
歩き続けて疲れたクラスメイトが、ふと口にしました。
「いいよな、座れて。ずるい」
その瞬間、美香さんの胸がチクリと痛みました。 大人ならすぐに叱る場面。
周りの子どもたちも一瞬静まり返ります。 先生も「あっ」という表情を浮かべました。
「ケンはどうするのか……」美香さんは息をのみ、見守っていました。