膝が悪く杖を使いながら旅行を楽しむ私は、空港での移動にいつも気を張っていました。
ところが「優先搭乗」を案内してもらったことで、迷惑をかけているかもしれないという不安から解放され、旅そのものをもっと楽しめるようになったのです。
杖をついて空港を歩く緊張感
旅行が好きな私は、膝を痛めて以来、杖をつきながら空港を歩くのが習慣になりました。
時間がかかるので一番最後に降りたい気持ちがあり、席は窓際を取るようにしていました。
ですが、搭乗したあと、自分よりも先に隣の席の方が座っていると席までたどり着くのにも気を遣うため、搭乗時が一番ドキドキします。
周囲に人が多い搭乗口では「遅れたら迷惑をかけてしまう」といつも緊張してしまい、出発前から気持ちが疲れてしまうのです。
「お手伝いしましょうか」と声をかけられても
そんな私に「お手伝いしましょうか」と空港スタッフの方に声をかけていただきます。
けれど、杖での移動に慣れていたこともあり、最初は過度なサポートを求めることへのためらいから、いつも遠慮して断っていました。
搭乗時は混雑を避けるため、エリアごとに搭乗案内があります。
それでも、人の流れのスピードに合わせて歩くのが負担で、内心では「迷惑をかけているのでは」と感じていたのです。
「優先搭乗」を勧められた日
ある日、搭乗前のロビーでスタッフの方から「優先搭乗をご利用になりますか?」と声をかけてもらいました。
妊娠中の人、小さなお子様連れ、お手伝いが必要な乗客が対象となるこの制度、杖をついている私も使ってよいとのこと。
試しに利用してみると、人より少し時間がかかる私でも落ち着いて座席に向かうことができ、これまで感じていたストレスが嘘のように消えたのです。
付き添いである同行者も一緒に搭乗できたことで、周囲に迷惑をかけているのではという不安からも解放されました。
安心をもたらす制度に感謝
後日、一緒に優先搭乗した友人が、車いすを利用している両親との旅行でこのサービスを思い出し「両親との旅行で利用できて本当に助かった」と声をかけてくれたことも。
実際に「安心して搭乗できた」と報告を受け、私も改めてこの制度のありがたさを実感しました。
もちろん、スムーズな運営という側面もあるでしょうが、私のように移動に不安を抱える人にとっては、旅を諦めずに済むように配慮された心強い制度です。
足元に不安のある私に、すぐさま声をかけてくださる空港スタッフの方に感謝しつつ、知っていてよかったと心から思える体験でした。
【体験者:50代・女性筆者、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。