突然の“追加診察”のお願いに驚愕
私は、歯科医院の受付として働いています。
歯科医院は患者さんを予約で管理しているため、突然の来院や追加の診察には対応できないことがほとんど。
ある日、予約して来院されたAさんが、小学生くらいのお子さんを連れていました。
診察券を受け取ると同時に、こう言われたのです。
「私の治療っていつもすぐ終わるんで、ついでに息子の歯も診てもらえません?」
食い下がる母親と困惑する私
私は、「予約がなければ無理なんです」と丁寧に説明しました。
しかしAさんは「ちょっと診るだけでしょ?」と食い下がります。さらに息子さんも「ママ、早く診てもらってよ!」と大声。
待合室にいた他の患者さんも振り返るほどでした。
それでもお断りすると、Aさんは苛立ち「空いてる時間あるでしょ! ウチはお得意様なんだから!」と声を荒げます。
私は毅然とした態度で「予約の方を優先させていただきます。ご希望でしたら改めて予約を承ります」と伝えました。
それでも、Aさんは納得しません。
場の空気を変えた院長のひと言
そのやり取りを聞いていた院長が出てきて、こう言いました。
「お子さんを“ついで”で診るような歯科医は、ここにはいません。大切なお子さんの歯だからこそ、しっかり時間を確保して診るべきです」
Aさんは顔を赤くし、息子さんの手を引いて黙って帰っていきました。
歯科医院は“ついで”で来る場所ではありません。
予約を守ることは、自分と他の患者さんの安心につながる大切なルールだと理解してほしい、そう思った出来事でした。
【体験者:30代・女性歯科医院受付、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。