皆さんには「推し」がいますか? 推すという行為に、年齢も性別も関係ありません。何かに夢中になる気持ちは、いくつになっても人生を豊かにしてくれますよね。今回は筆者の友人が、母親との「推し活」をめぐる話を聞かせてくれました。
理解されない推し活
私には10年以上前から追いかけている、大好きなアイドルがいます。いわゆる「推し」です。
でも、私が夢中で推しの話をするたび、母はいつも冷ややかに言いました。
「またアイドル? そんなくだらないものに大金を使って……」
遠征すれば呆れられ、部屋にグッズを並べれば鼻で笑われ。
好きな気持ちを踏みつけられるようで、理解されないことをいつも悲しく思っていました。
母の変化にモヤモヤ
ところが、そんな母が65歳を過ぎた頃、突然変化が訪れました。
知り合いに誘われて小さな劇団の舞台を観に行ったらしいのですが、そこで出会った若い俳優にハートを撃ち抜かれ、あっという間に大ファンになってしまったのです。
公演を追いかけ、ついにはファンクラブにも入会したとのこと。
人生初の「推し」を持った母の姿に、私は正直モヤモヤしました。
あれだけ私の推し活をバカにしておいて、自分は楽しそうにしているなんて……。
喜ぶべきなのか、腹を立てるべきなのか、複雑な気持ちでした。
悲しみが解けた瞬間
そんなある日、母が突然「一緒に舞台を観に行かない?」と誘ってきたのです。
戸惑いながらもついて行った私は、客席で夢中になって推しの俳優を目で追いかける母を見て、「あの母が……?」と内心とても驚きました。