筆者の話です。
旅行会社に勤めていた頃、WEB上で「予約を非表示にする機能」を使ったお客様が、自分で非表示にしたことを忘れ、当日現れず無断キャンセル扱いに……。
便利な仕組みが、思わぬトラブルの火種になることを実感した出来事です。

便利な“非表示”機能に潜む落とし穴

勤務先の旅行会社のWEBサイトには、自分の予約を「非表示」にできる機能がありました。
取消をした予約を見えないようにしたり、家族に見られたくない予約を隠したり……。
人によって理由はさまざまでしたが、便利な仕組みとして利用されていたのです。
中には「サプライズ旅行だから」など、ちょっと微笑ましい事情もありました。

忘れてしまうお客様

ところが、まだ宿泊を終えていない予約を「非表示」にしたことで、お客様自身が予約自体を忘れてしまい、当日に姿を見せないケースが毎月のようにありました。

結果は当然「ノーショー(無断キャンセル)」キャンセル料が発生します。私たちは状況を説明するためお客様へ連絡を入れますが、ここからトラブルの火種が生まれてしまうのです。
お電話では「そんなはずはない」とご自身の予約がないことに動揺され、会話がうまく成立しないことも珍しくありませんでした。

「見ていない、聞いていない」というお言葉

WEBサイトからは出発前に確認メールも送ります。
けれどお客様のなかには「画面に予約がないから、これは違う」と思い込まれる方も少なくありません。

さらにメールアドレスの登録ミスがあれば、当然そのリマインドも届きません。
そうなると「そんな予約していない!」「聞いていない!」と予約の存在を強く否定され、クレームに発展します。

中には「会社に乗り込む」とまで言われたこともありました。
宿泊後の日程で発覚するためキャンセル料は高額になり、お客様にご納得いただくまで時間がかかり、トラブルが長引くことも少なくなかったのです。

便利さと危うさは紙一重

「非表示」にするのは自由です。
それぞれのご事情もあるでしょうし、整理したい気持ちもわかります。

けれど、便利な機能を利用する際は、同時にリスクも考慮することが重要ではないでしょうか。
予約内容を紙のメモやカレンダーに記録する、予約完了メールを大切な情報として保存しておくなど、ご自身で予約を管理する習慣を持つことで、このようなトラブルは防げます。

私自身、この経験から、どんなに便利なシステムも使い方を誤れば大きな問題に繋がることを痛感しました。
この経験が、皆さんがWEBサービスを安全に利用するきっかけとなれば幸いです。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。