親切なPさんに救われた瞬間
幼稚園から比較的近かったため、息子と2人で歩いて帰ることにしました。叩きつけるような土砂降りに打たれながら、私は「これ以上、息子を濡らさないようにしないと」と気がかりでなりませんでした。そんな時、前から車で近所のPさんが通りかかりました。すると、窓を開けて「乗っていきなさい!」と声をかけてくれたのです。私は少し迷ったものの、Pさんの優しさに甘えて助手席に乗せてもらいました。車内は暖かく、外の土砂降りが嘘のように感じました。息子もホッとした様子で安心した顔をしていました。
「本当にありがとうございます」と何度もお礼を言うと、Pさんは「お互いさまよ。昔、私も人に助けてもらったことがあるの」と笑顔で返してくれました。ほんの数分のことでしたが、その優しさに、私の心もじんわりと温かくなっていくのを感じました。
その優しさを息子にも伝えたい
家に帰った後、息子に「困っている人がいたら、Pさんみたいに助けられる人になろうね」と話しました。すると息子は、「うん! ぼくも車出してあげる!」と元気よく答えてくれました。この日の出来事は、私だけでなく、息子にも優しさの大切さを教えてくれたのだと思います。
Pさんがしてくれたことは、ほんの些細なことかもしれませんが、その心温まる行動は、私にとって大きな意味を持っていました。今度は私が、誰かの力になれるように、その優しさを受け継いでいきたいと心から思っています。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。