誕生日が近い従兄弟
Cさんは5歳の息子C太のママ。毎年息子の誕生日には近くに住んでいる義両親を呼んでパーティーをしています。
ある年の誕生日、ちょうど実家に帰省していた義妹の4歳になる息子D輔も誕生日が近いため、義母が「2人のお誕生日パーティーを合同で開催しましょう」と言い出したのです。
「いいですね! 賑やかにお祝いしましょう」
義母は遠方に住んでいる義妹の息子にとにかく甘く、毎年誕生日にはたくさんのプレゼントを贈っているのは知っていました。
実は義母とCさんはあまり折り合いが良くありません。
会うたびに嫌味を言われたり、面倒な用事ばかり押し付けられたりするので、近くに住んでいるのに子どもの誕生日パーティーやお盆、年末年始しか顔を合わせることはありませんでした。
だからといってCさんの息子には冷たいということもなく、お祝いもしてくれているので、Cさんは合同のお誕生日会を楽しみにしていました。
「Cさんはケーキ代を負担してくれる? 予約は私がしておくから」
義母にそう言われたので、Cさんは特に疑問もなくケーキ代を渡しました。
ケーキのプレートを見て愕然
そして当日。あいにく旦那さんは仕事で来られなかったため、Cさんは息子と2人で義実家へ。
「ケーキ取りに行ってきたわよ、みんなで写真を撮りましょう」
皆が集まったところで、義母が予約していたケーキの箱を開けました。
「わーい、ケーキケーキ!」
「僕のお誕生日ケーキ!」
はしゃぐ子どもたちと一緒にケーキを見て、Cさんは愕然としました。
「うちの子の名前がない……」
ケーキの上にのっているチョコレートのプレートには、「D輔くん(義妹の息子)おたんじょうびおめでとう」としか書いてありませんでした。
「お義母さん、うちの子の名前が書いてないんですが」
「あら、うっかりしちゃったわー」
義母はとぼけた様子で言いましたが、Cさんに対する普段の行動からおそらくわざとであるとわかりました。
「僕のケーキじゃないの?」
いくら嫁が気に入らないとはいえ、息子を悲しませる行為は許せないと感じたCさんは、しょんぼりしている息子に「帰ったらちゃんとお名前プレートのあるケーキ買おうね」と慰め、すぐに義実家を出ました。
そしてもう何を言われても、義妹の息子との合同の誕生日パーティーはしないと決めたそうです。
義母の行動は、確かにCさん家族を傷つけるものでしたが、この一件は、家族にとって本当に大切なものは何かを改めて見つめ直す、大切なきっかけになったようです。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。