家庭を守るための選択は、時に自分を犠牲にする覚悟を伴います。でも、良かれと思って重ねた我慢が、実は一番大切なものを傷つけていた、ということもあるようです。今回は、筆者の知人のエピソードをご紹介します。
少しずつ冷えていった、夫婦の距離
結婚当初は穏やかで、子育ても協力的だった夫。
ところが仕事が忙しくなるにつれ、帰宅は遅く、休日もスマホばかりで会話は減っていきました。
私は専業主婦として家庭を支えようと必死でしたが、夫の無関心や小さな暴言に心がすり減っていきました。
穏やかだったはずの我が家から、いつの間にか温かい空気が消えていたのです。
息子のための“我慢”
夫の転職で、私たちのすれ違いは決定的になりました。
さらに多忙になった夫との話し合いは、いつも険悪なムードに……。
そうなってもまだ、離婚は考えられませんでした。
小学生の息子を「経済的に困らせたくない」「片親にしたくない」という思いが、踏みとどまらせていたのです。
その思いは、いつしか自分を縛る鎖のように重くなっていきました。
私が我慢すれば、きっといつか元に戻れる。
そう信じて、自分の心を押し殺す日々でした。