子どもたちの独立
私は子どもたちが幼いころに離婚し、シングルで2人の子どもを育て上げました。
長女はすでに結婚し、他県で生活しています。
長男も最近結婚し、体が丈夫ではない私のことを気遣って、近所のマンションを借りて生活してくれていました。
私は公務員として定年まで勤め上げ、その後も嘱託で働いています。
長男の嫁・K菜は結婚当時は仕事をしていましたが、出産を機に退職し、子育てに専念していました。
毎日のようにやってくる嫁
私が仕事を終えて家に着くのは大体17時頃。
孫が生まれてからというもの、なぜか嫁のK菜は私の帰りを待っているかのように、毎日わが家へ来るようになりました。
私は孫に会えて嬉しかったこともあり、孫・嫁に加えて長男の分も食事を作り、お風呂も使わせて、21時頃に長男家族が帰るという生活を続けていました。
ただ、私が嘱託でもらえる給料は現役時代の1/3程度。
自分一人なら問題なく生活できていましたが、長男一家が毎日のようにご飯を食べに来て、お風呂まで入って帰るようになってからは、食費と光熱費が少し負担になっていったのです。
嫁の本音
私は意を決して長男に連絡を取り、このままでは経済的に厳しいことを説明しました。
すると長男は「え? そうだったの? K菜からおふくろが来てくれって言ってたって聞いたけど?」と答えたのです。
そんなある日、私は友人と食事をする約束があったため、K菜に「明日は帰りが遅くなるから」と伝えました。
するとK菜は「え~? じゃあ夕飯はどうするんですかぁ?」と一言。
私が「え?」と言うと、K菜はついに本音を漏らしたのです。
「ご飯作るのめんどくさいし、お風呂も一人で入れるの大変なんですぅ。お義母さんにお願いすればお金もかからないし~」
折り合い
K菜の発言は、私と孫を会わせるためだけに来ていたわけではなく、家事育児の負担を減らしたい一心だったのだと知りました。息子の話を聞いた時も何かあるとは思っていましたが、あまりにも正直な理由ににちょっと引いてしまいました。
何となく「利用されている」ような気がして、あまり良い気分ではありませんが、孫は私に懐いているため、自分の気持ちに折り合いをつけようとしています。
しかし、今回の出来事をきっかけに、私たちは家族間のコミュニケーションが不足していたことに気づかされました。今後はお金のことだけでなく、お互いの気持ちを率直に話し合う機会を設け、より良い家族関係を築いていきたいと思っています。
【体験者:60代女性・嘱託職員、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:RIE.K
国文学科を卒業しOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子供を養うために、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。