ヨガの先生が引退
趣味で長い間通っていたヨガ。そのヨガの先生が引越しを機に引退することになりました。
とてもお世話になった先生で、同じクラスに通う私たちにとっても大きな存在でした。
中心メンバーの提案でお金を集めることに
すると、ヨガのクラスの中心的存在のAさんが、「みんなで色紙を書いて渡しましょう」と提案してくれたのです。
そして、「一人500円ずつ集めて、色紙とちょっとしたプレゼントをあげようと思っています」と、お金も集めてくれることに。
メンバーは25人前後。ざっくり計算しても1万2千円以上。
私を含め、他の人も「お花と、ちょっとしたプレゼントかな?」「記念品かもね」と、仕切ってくれたAさんに感謝しました。
最終日、みんなで色紙を手渡す感動の瞬間
そして迎えたヨガレッスン最終日。
いつも通りのクラスが終わると、Aさんが中央に立ち、「今までありがとうございました!」と、みんなのメッセージがぎっしり詰まった色紙を先生に手渡しました。
先生は驚いた様子で少し涙ぐんでくれて、私たちも胸がいっぱいになりました。
が、それで終わりました。
色紙だけで終わった贈り物に漂う、微妙な空気
「え? プレゼントは?」
「お花は?」
「色紙だけ……?」
周りを見渡すと、なんとなく同じ空気を感じている人たちが数名。
私の隣にいた人がポツリと「色紙、1万2千円かぁ」とつぶやきました。
もちろん、色紙だって気持ちのこもった大切な贈り物。管理も大変だったでしょう。
でも正直、500円×25人の“色紙”って、なかなかリッチ。
数日後のSNS投稿で芽生えた、新たな疑問
数日後、先生のインスタには「生徒さんたちからいただいた色紙!」と、モザイクのかかった色紙の写真が。
そして続けて、「Aさんからはお菓子まで!」との投稿。
……ん? Aさんから?
あのときは色紙しか渡していなかったはず。それに、「余ったお金で何か買う」って言ってたのに。
もしかして、あのお菓子が“余ったお金”で買われたプレゼントで、それをAさんが個人からの贈り物として渡した?
帰り際にAさんの手にチラリと見えた、有名洋菓子店の袋が頭をよぎります。
「まさかね」と自分に言い聞かせながらも、心の奥に残ったモヤモヤは晴れないのでした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。