曲者
私が以前勤めていた会社の同じ部署には、直属の課長・N村さん(女性)と部長のT木さん(男性)という人がいました。
このN村課長という上司がかなりの曲者。
同僚からN村課長に関するいくつもの相談を受け、中にはN村課長のせいで退職すると言い出す人もいたため、私はどうすべきか思い悩んでいました。
ある週末のこと。T木部長からいきなり声をかけられ、勤務時間終了後に少し時間をとってほしいと言われたのです。
相談
T木部長はN村課長に対する不満が多く上がっていることに気が付いていて「なんでも話してほしい。Kさん(私)のガス抜きだと思ってくれても構わないから。」と言いました。
T木部長はさまざまな課題を解決してきた凄腕の上司。
私はT木部長の言葉を信じ、N村課長に対する不満の声を相談したのです。
T木部長は「話してくれて助かりました。自分の方で少し考えてみるから。」と言ってくれました。
私は状況が改善するだろうと思っていたのですが、事態は思わぬ方向へ。
その次の週には私が一人“悪者”になっていたのです。
誤算
仲の良いパートの一番の古参・Yさんから話を聞くと、私がN村課長に対する不満をT木部長に告げ口し、仲間がN村課長の悪口を言っていると話したことになっていました。
事情を説明しても、周囲の誤解は解けず。
Yさん曰く「Kさん、気が付かなかったの? T木部長とN村課長は不倫してるんだよ。だからなんでも筒抜けだし、N村課長はKさんのこと良く思ってないから、嵌められたんだよ!」とのことでした。
退職
その後、N村課長に睨まれた私は勤務評価も下がり、いたたまれない状況に。
最後まで誤解は解けないまま、退職することになってしまいました。
Yさんはまだ以前の職場に勤めていて、私が辞めた後に誤解は解けたと聞きましたが、誰がどう見ても非があるのはN村課長だったはず。
一方的な話を周囲に鵜呑みにされてしまったこともショックでしたが、T木部長とN村課長の手の込んだ作戦にも呆れ果ててしまいました。
今となっては思い出話ですが、未だにあの2人は許すことができないままでいます。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:RIE.K
国文学科を卒業しOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子供を養うために、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。