社宅のランチ会で、配車を仕切ったのは“上司の奥さん好き”のMさん。
私たちはギュウギュウ、上司の奥さんは快適シート。
……それ、全員分かってましたけどね?
社宅ランチで浮き足立つMさん
夫の転勤で、社宅に住んでいました。
比較的、和やかな雰囲気の社宅だったと思います。
同年代の子どもが多く、奥さん同士で数カ月に一度ランチに行くことがありました。
その日はちょっと豪華に、隣の市の海辺のレストランへ行こうという話に。
提案したのは、社宅でよく話題に出るMさん。
好き嫌いがはっきりしていて、なにかと“上司の奥さん”にばかり張りついている上昇志向の強い人でした。
配車を仕切り出し、線引きが始まる
ランチ会には車で乗り合わせて行くことになり、誰が誰の車で行くかという話に。
するとMさんが当然のように仕切り始めました。
「Fさん(上司の奥さん)は、うちの車で行きましょう!」
Mさんの自家用車はワゴン車。
その車を出してもらえると、たくさんの人が乗れるので、台数が少なくて済むと安心したのも束の間。
てっきり何人か一緒に乗せると思いきや、他の人たちには何の声もかけることはなく。
結局、残った私たちはレストランの駐車場の関係もあり、普通車にぎゅうぎゅう詰めの定員で、乗り合わせることになりました。
勝手に出発、さらにあぜん
当日の集合場所は社宅の駐車場。
みんな揃ったので、ようやく出発しようとしたら、Mさんの車が見当たりません。
「上司の奥さんと寄りたい場所があるから」
それだけ言って、私たちには何の説明もなく、勝手に先に行ってしまったらしいのです。
もともと“上司の奥さんだけを特別扱い”する傾向はあったけど……今日はそれがあからさま過ぎて、全員あぜん。
「気に入られたい」にしても、なんだかやりすぎじゃない !?
上司の奥さんの一言に救われた
ようやくレストランに着くと、先に到着していたMさんたちが待っていました。
車から降りてきた上司の奥さんが、私たちの方を見てぽつり。
「そっち満員だったの? こちらに乗ればよかったのに」
その一言に、私たちは思わず苦笑いをしました。
気づいてくれていたんだ、と少し救われる思いがしました。
……いやいや、私たちもそう思いましたけど?
Mさんが、全力で線を引いてましたよね?
さすがに帰りは上司の奥さんが「こちらにも乗せてもらいましょうよ」と声をかけてくれて、数名Mさんの車に移ることができ、ゆったりと帰ることができましたが。
「上司の奥さんに気に入られたい」が前のめりすぎるMさんに、どっと疲れた一日でした。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。