筆者の知人A子は、4人の子どもを育てる中で、自然と長女に頼りきりになっていました。
でも、ある日ふとした一言から、A子は長女の「本当の気持ち」に気づいたそう。A子が話してくれました。

本当に頼りになるお姉ちゃん

私は4人の子を育てています。上から9歳の長女、4歳の長男、そして2歳の双子の次男、三男。

下の3人は、毎日がにぎやかで大忙し。毎日が戦争のようです。そんな中、長女は小4ながら驚くほど頼れる存在。弟たちの面倒をよく見てくれ、私もつい助けを求めてしまうことが増えました。

「さすがお姉ちゃんだね」と声をかけると、誇らしそうに笑う長女。

日々の慌ただしさを言い訳に、私は何度も長女に頼ってしまっていたのです。

もう4年生だし、大丈夫!

弟たちはいつも私を取り合うように甘えてきます。「ママ、こっち来て!」「ママ、一緒に寝て!」と、両腕を奪い合う日常。

そのそばで、長女はよく「私はもう4年生だから大丈夫だよ」と笑っていました。その言葉に、私はどこか安心していたのです。「ちゃんとわかってくれてるんだな」と。

慌ただしい平日の朝。学校の準備も自分で済ませ、弟の水筒まで用意してくれる姿を見て、「なんてしっかりした子なんだろう」と感心していました。

でもそれは、長女にとって「小さな背伸び」でもあったのかもしれません。

久しぶりに、二人きり

ある週末、夫が弟たちを連れて出かけてくれた日がありました。

二人きりになった長女と私は、近所の公園まで散歩に出かけました。

何気ない話をしながら並んで歩いていたそのとき、長女が私の手をそっと握ってきたのです。

「今日は誰にも手を取られないね」

その言葉を聞いて、私ははっとしました。長女の目が、ほんの少しうるんでいたのです。

ずっと、甘えたかったんだ

ああ、この子は、ずっと我慢していたんだ。
ママの手を取りたかった。甘えたかった。けれど、自分で「お姉ちゃん」を演じていた。

そう思うと、胸がぎゅっとなりました。
私が「ありがとう」「助かる」と言うたびに、彼女は「甘えちゃいけない」と思っていたのかもしれません。

長女の「甘えたい」という気持ちに、これまでちゃんと気づいて寄り添えていなかったことを、深く反省しました。

私はそっと長女の手を握り返し、こう伝えました。

「またいつでも、ママと手をつないでね。大きくなっても、ずっと待ってるから」

すると長女はちょっと照れくさそうに笑いながら、もう一度、ぎゅっと私の手を握り返してくれました。

すぐに、積み重なった寂しさを癒すことはできないかもしれません。
でも、これからは長女との時間を、もっと大切にしていきたいと思います。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。