近年、PTAのあり方は多様化しています。活動が縮小されたり、任意加入となったりする学校がある一方で、地域コミュニティの中心として活発に活動している学校も少なくありません。今回は筆者の友人A子さんから聞いた、初めてのPTA役員で奮闘したエピソードを紹介します。

初めてのPTA

A子には小学校2年生になる息子がいます。息子の通う小学校では、小学校6年間で子ども1人につき必ず1度はPTA役員を務めなければならない、というルールがありました。そのため、「どうせなら面倒なことは、さっさと終わらせちゃおう!」と思ったA子は、PTA役員に自ら立候補することに……。見事当選し、PTA役員となったのでした。

仕事はベルマーク集め

初めてのPTA役員で、生活委員会に所属することになったA子。主な仕事はベルマーク集めと点数の計算です。職場の昼休憩中に、「今年初めてPTA役員をすることになったんです~」と話したところ、子育てを終えたパートの先輩ママたちが家にあるベルマークを次々と持ってきてくれました。

大量ベルマークを持参するも……

職場の先輩ママたちに感謝しながら、A子は「これで学校に貢献できる!」と意気揚々と初めての委員会に参加しました。ところが、そこで待っていたのは、まさかの反応でした。

「こんなに集めなくていいのに!」

そうチクりと言ったのは、同じ委員会のママ友。
戸惑うA子さんをよそに、ママ友はため息交じりに続けます。

「集めれば集めるほど、集計の仕事が増えるから大変なんだよね……」

集計が……めんどくさすぎる!

そう、ベルマークの「集計」が、こんなに大変な作業だとは、思いもよらなかったのです。

・メーカーごとに点数が違う
・細かい作業で目が疲れる
・集計されずに溜まっていた何年も前のものも残っていて、仕分けに時間がかかる

一つひとつは小さな作業ですが、気が遠くなるほどの量がたまっていました。
委員会の人数は10人ほど。みんなで協力しても、なかなか終わりません。

職場では、今日も先輩たちがにこやかに声をかけてくれます。
ありがたい気持ちと、増え続けるベルマークの山を前に「もうこれ以上は」という気持ちがせめぎ合い、複雑な心境を抱えるA子。
学校のためには集めたほうがいい。でも、この地道な作業に終わりが見えない……。

「ベルマークって、集めるだけじゃないんだ」

この1年、A子さんを悩ませる「ベルマークのジレンマ」は、働きながらPTAをこなす多くの人にとって、きっと他人事ではないはずです。

【体験者:30代・女性パート 、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:ichika.K
2児の育児を機に、ママの悲喜こもごもを描くライターとしての活動をスタート。子育てメディアなどの執筆を経て、独立し現在はltnでコラムを連載中。大手企業の総合職でのOL経験、そこから夫の単身赴任によりワンオペでの育児を行った経験から、育児と仕事を両立するママの参考になる情報を発信すべく、日々情報をリサーチ中。