これは筆者自身の体験です。
3歳の息子とスーパーへ買い物に行ったある日、レジで割り込みをされたことがきっかけで思わぬトラブルに。
理不尽な状況の中で、周囲の人の対応や自分の小さな勇気がどれほど支えになるかを実感した出来事です。

息子とスーパーに行ったある日

金曜日の夕方、私は3歳の息子と一緒に近所のスーパーへ買い物に行きました。
夕飯の材料を手早く選び、混雑するレジに並びました。息子は「ママ、だっこ〜」とぐずり始め、私は片手でカゴ、もう片手で息子をだっこしながら順番を待っていたんです。

目の前に現れた年配男性→モヤモヤ

そんなとき、横から年配の男性がスッと現れ、私たちの前に割り込んできました。
明らかに後から来たのに、何食わぬ顔でカゴをベルトコンベアに置きました。

一瞬「見間違い?」と思いましたが、やっぱり納得できず、勇気を出して「すみません、私たちが先に並んでたと思うのですが……」と声をかけました。

するとその男性は、こちらをにらみつけるような目で見て、突然大声で怒鳴ってきたのです。

店内に緊張が走る……けれど

「はぁ? 俺が先にいたに決まってんだろ! 見てなかったのか?」
店内の空気が一瞬にして凍りつき、周囲も沈黙。息子は驚いて私にしがみつき、私は正直、怖くて言い返せませんでした。

店員さんの一言が空気を変えた

そんなとき、レジ奥から若い男性スタッフがサッと駆け寄ってきました。

「お並びは、こちらのお客様が先です。順番をお守りください」
落ち着いた、でも毅然とした口調でした。

男性は何か言い返しかけましたが、男性スタッフが「ほかのお客様のご迷惑になりますので」と静かに一言。
結局、その男性は舌打ちして列を離れていきました。

小さな勇気と安心の空気

私はスタッフに「ありがとうございました」とだけ言うのが精一杯。
周囲の方たちも少しホッとしたような表情でした。

割り込み自体はショックでしたが、それ以上に「子どもの前で理不尽を見過ごしたくない」という気持ちで声をかけた自分に、少しだけ自信が持てた気がしました。

小さな出来事からの学び

子育てをしていると、理不尽なことや怖い場面に出会うこともあります。
そんなとき、自分ひとりではどうにもできないと思いがちですが、誰かの小さな勇気やさりげない対応が、こんなにも心の支えになるのだと実感しました。
あの日の店員さんの言葉は、今でも忘れられません。
たとえ小さなことでも「間違っている」と声を上げることの大切さ、そしてそれが誰かを守る力になることを、改めて感じた出来事でした。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。