親になって初めて自分の親の偉大さに気付き感謝できることも。
今回は筆者の知人から聞いた、距離を置いてきた母と娘の絆を感じる感動エピソードをご紹介します。
母とは距離があった
母とはこれまでぶつかることがとても多かったです。
思春期には何度も衝突した私たち。なぜか母には反抗心がむき出しになってしまっていた私は、母をよく困らせ悩ませていたでしょう。
あるとき「産んでくれなんて頼んでない!」と咄嗟に言ってしまった私に、ハッとした表情で「ごめんね」と謝ってきた母。
その悲しげな顔と言葉が脳裏にこびりついて何度も謝ろうと思ってはいたのですが、どうしても素直に感謝の気持ちを伝えられずにいました。
出産
その後も冷たい態度をとり続けてしまい、大人になっても母とは距離を置いて過ごしていました。
そんななか、私が出産して初めての里帰りをした1か月間で、私の心が大きく変わったのです。
「どうすれば泣きやむの?」
「もう何してあげればいいのか分からない!」
慣れない育児に私の心が折れそうになるたびに、母はいつもさりげなく助けてくれました。
赤ちゃんのことだけでなく、精神的に不安定になり攻撃的な態度ばかりとる私のメンタル面もずっと労わってくれたのです。
ありがとう
「あなたもよく泣く子だったわ」
「でも手がかかるほど可愛いものよ」
そう笑って言い、孫をあやしながら、どこか懐かしそうな目をしていた母。
その母の独り言に、私はようやく気付いたのです。
こうやって母に何度も抱き上げられ、たくさん励まされ努力を認められながら育てられてきたことを。
自分も育児で大変な思いをしただろうに、私に冷たく当たることなく、根気強く見守ってくれた、あたたかい愛情で包んでくれた母。
里帰り最終日の帰り際、私は心の底から「産んでくれてありがとう」とようやく素直に伝えられました。
母は偉大
その言葉に驚きつつも目を潤ませながら
「それ、録音しとけばよかったわね」
と笑って送り出してくれた母。
「産んでくれてありがとう」は、親になったからこそ出てきた言葉でした。
帰宅後も、偉大な母のようなお母さんに少しでも近付けるよう、育児に奮闘しています。
母との心の距離が縮まった、感慨深い出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。