無口で不器用な父に、愛情を感じられず育った筆者の知人A子。
距離を置いていたある日、思いがけない形で父の【本当の想い】に触れることに──。
今回はA子から聞いた、父が娘を想う静かな愛に関するエピソードをご紹介します。
距離を置いていたある日、思いがけない形で父の【本当の想い】に触れることに──。
今回はA子から聞いた、父が娘を想う静かな愛に関するエピソードをご紹介します。
無口で関わりにくい父
「子どもには迷惑かけたくない」
「俺のことは気にするな」
この2つのセリフは、私が幼い頃からの父の口癖でした。
感情をめったに表に出そうとはせず、誰に対してもぶっきらぼうで無口だった父。
私が何か話しかけても反応は頷く程度で、父から話題を振ってきてくれることはほとんどありませんでした。
母はそんな父をフォローしていたものの、ずっと父からの愛情をいまいち感じられずに育った私。
大人になり家を出て数年後、持病が悪化した母が亡くなると、父しかいない実家にはより帰らなくなっていました。
見つけたもの
そんななか父が急な病で倒れ、介護が必要に。
正直、これまでの父との関係を思うと、介護の始まりに戸惑いもありました。
それでも、一人娘ということもあり、父の介護ができるのは私だけ。
複雑な気持ちを抱えながら、まだ入院している父に代わって、実家の掃除から始めることにしました。
その一環で、あまり入ったことのない父の部屋で荷物を整理していたとき、通帳と古い日記をいくつも見つけたのです。
父の想い
通帳には、私の名前で少しずつ積み立てられたお金が記載されていました。
どうやら母と一緒に貯めて、私にいつか渡してくれようとしていたようですが、タイミングを逃してそのままになっていた様子。