義母
ある日、私が干していた布団を取り込んでいると、義母がいつものようにアポなしでやってきました。
雨が降りそうだったので「布団取り込んじゃうまでちょっと待っててください。」とお茶だけ出して、私は急いで布団を取り込んでいました。
夫の布団を片付けていると、いきなり義母が「R美さん(私)、このせんべい布団は誰の?」と声をかけてきたのです。
勘違い
私が「Nさん(夫)のです」と言うと、「えぇ!」と大げさに驚いた義母。
「あなたはベッドで寝てるのに、あの子だけこんなペラペラの布団で寝てるの?」と怒り出しました。
義母は続けて「もしかして、あの子はこの狭い部屋で寝てるの?」と私が布団を片付けていた部屋に入り、「狭い!」「空気が悪い!」などと、大騒ぎ。
しかし、その布団が良いと言ったのも、4畳半ほどの部屋で寝たいと言ったのも夫。
それを伝えても義母の怒りは収まらず「かわいそうなN!」と言いながら帰って行きました。
理由
その日の夜、私は夫が帰ってきたときに、その日の話を伝えました。
夫は苦虫をかみつぶしたような顔をして「いいよ、放っておいて」と一言だけ。
不審に思った私が問いただすと、驚くような理由が告げられました。
それは夫が幼い頃、何かあると常に押し入れに閉じ込められて食事も与えられなかったこと、「あんたにはこの部屋がお似合い!」と言って狭い納戸をあてがわれていたこと、布団も常に古い物を使わされていたことを聞きました。
さらに狭いところで育ってしまったため、狭いところでしか眠れなくなったことがわかったのです。
トラウマ
義母は私には良き母親を演じていましたが、実際は虐待に近い行いをしていたのです。
未だにトラウマを抱えた夫が不憫になり、物理的に距離をとろうと引っ越しをすることにしました。
引っ越してからというもの、義母のアポなし訪問はなくなり、接する頻度が少なくなったことで、夫も精神的に安定して、私と一緒の部屋で寝られるようになりました。
今後
義母がなぜ夫をそのように育てたのかはわかりませんが、夫が深く傷ついていることは事実です。
これからは少しでも穏やかな生活ができるようにしてあげたいと思っています。
【体験者:30代女性・会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。