なんで僕の家だけ……?
ある晩のことです。
夕食を終えて片づけをしていた私に、息子がポツリとつぶやきました。
「うちの親って、ちょっと変なんじゃない?」
私は耳を疑いました。
怒るよりも先に、胸が締めつけられるような気持ちになり、「どうしてそう思うの?」と聞き返すのがやっとでした。
息子は言いました。「友達の家はもっとゲームしてるし、ママたちみたいに細かく言われないんだよ」
正しさだけでは伝わらない
私は、息子にとって良い親であろうと、生活習慣や言葉遣い、ゲーム時間などに厳しくしてきました。それが私なりの“愛情”だったのです。
でも息子には、それがただの“うるさい親”にしか映っていなかったのかもしれません。
その晩は、布団に入ってもずっとモヤモヤが消えず、「私は間違っていたのかもしれない」と自問し続けました。
「ごめんね」から始める会話
翌朝、お弁当を作りながら私は息子に言いました。
「ママ、T太の気持ちをちゃんと聞けてなかったかもしれない。ごめんね」
息子は少し驚いた表情をして、照れくさそうに言いました。
「僕も、昨日の言い方は悪かったなって思ってた。ママのごはん、世界で一番うまいって思ってるし」
私は思わず笑ってしまい、心の奥がじんわりと温かくなりました。
親も子も、一緒に育つ
この出来事を通して、「親だから完璧じゃなきゃいけない」という思い込みが少しだけほどけました。
親も子も、ぶつかりながら、間違えながら、一緒に育っていくものなのだと思います。
これからも悩むことはあると思いますが、T太とちゃんと向き合って、笑い合える毎日をつくっていきたいです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。