夢中になったオンラインの世界
小学4年生の娘が夢中になっていたのは、家庭用ゲーム機で友だちとオンライン対戦するゲーム。
毎日のように「Bちゃん、今いるかな?」とソワソワし、寝る前にもゲーム機を手に取っては「まだオンラインかな?」とチェックしています。
そんなある日、Bちゃんのお母さんからLINEが。
「今日、Bから話聞いたんだけど……何か聞いてる?」
私は一瞬ドキッとしつつ、慌てて娘に尋ねると、「うーん、別に」と答えましたが、話を聞くうちに娘の表情が曇っていったのです。
ゲーム内トラブルの余波
詳しく聞いてみると、どうやら数日前にゲーム内で言い合いになったそう。
「Bちゃんがルールを変えてきて、ちょっとムカついたから強く言っちゃったんだ」と娘。
その後、ゲーム上でお互いに冷たい言葉を交わし、学校でも無言で過ごすようになったと言うのです。
「いいんだよ。Bちゃんとは学校で話しないし」と娘は言ったが、私は違和感を覚えました。
「それで本当にいいの?」と聞くと、「だって、Bちゃんが悪いんだもん」と言います。このままでは、解決する気配が見えませんでした。
親としてできること
私は、娘に伝えました。
「どんなに小さなことでも、友だちとの関係は大事にしないと後悔するよ」と。そしてBちゃんのお母さんに連絡を取りました。
しばらくして、Bちゃんのお母さんから返事が。
Bちゃんも同じように、「どうしてあんなこと言っちゃったのか、わからない」と後悔している様子だと言うのです。
素直な一言がくれた和解
数日後、私は娘とBちゃんが直接会う機会を設けました。
すると娘は、「ゲームのことでケンカしちゃって、ごめんね」と、素直な一言。
Bちゃんも「私もごめん!」と言ってくれました。
それから、2人は無事に和解。「また遊ぼうね!」と、気持ちよく別れることができました。
オンラインとリアルの狭間で
オンラインゲームで生まれたモヤモヤが、リアルの人間関係に影響する。
私は「たかがゲーム」と思っていましたが、子どもたちにとっては「一緒に遊ぶ」以上の意味を持っていることに気づきました。ゲームがつなぐ友情もあるけれど、火種にもなりうることを痛感したのです。
親が入れないその世界の距離感を、どう教えればいいのか、考えさせられる出来事でした。
この一件で懲りたのか、それから娘はオンラインゲームに執着しなくなりました。
【体験者:40代・会社員、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。