結婚式に招待されて
当時OLをしていたNさんは、久しぶりに連絡がきた学生時代の友人から結婚式に招待され、花嫁のお色直しのドレスと色が被らないようにあえて黒いドレスを新調しました。
「ヘアセットも予約したし、準備ばっちり!」
美容院の予約やドレスに合う靴やバッグも準備して、Nさんは友人の結婚式をとても楽しみにしていました。
すると式の前日になってから、突然花嫁となる友人から電話がかかってきました。
「結婚おめでとう、明日楽しみにしてるね!」
「ありがとう、式のことなんだけど実はお願いがあって」
結婚式の演出に関することなのかと思い、Nさんは「できることなら協力するよ」と答えて友人のお願いを聞くことに。
すると友人の口から出た「お願い」はとても意外なものでした。
「明日何色のドレス着る予定? 最近みんな黒ばっかりだよね。花嫁の友人が黒いドレスばっかりだとお葬式みたいで華やかさに欠けるじゃない? 私の式は黒いドレスNGだからよろしくね!」
「そんな……もう黒のドレス買っちゃったよ。そういうのはせめて1週間前くらいに言って欲しかったな」
「誰かに借りればいいでしょ、そこは自分で工夫してよ!」
そこで電話を切られ、Nさんは呆然としてしまいました。
結婚式当日……
そして結婚式当日。
Nさんは心当たりのある友人たちに次々と連絡し、なんとかブルーのドレスを借りて出席することができました。
「急に黒いドレスNGって言われても無理だよね」
出席している他の友人たちも全員Nさんと同じように急に黒いドレスNGの連絡が来たらしく、「用意できなかったの」と申し訳なさそうに黒いドレスで出席している人も数人いました。
「とりあえずお祝い言いに行こう」
友人たちと連れだって控室に行くと、花嫁の友人は黒いドレスの友人を見て露骨に嫌な顔をしました。
「もうー、黒はやめてって言ったでしょ! 暗い印象になるからブーケトスには参加しないでよ」
「わ、わかった」
「ほんと使えないんだから……ドレス貸してくれる友人くらい作っておきなさいよね」
せっかくお祝いに来てくれた友人にわがまま放題言っているのを聞いて、Nさんはそれ以降その花嫁の友人と距離を置こうと決めたそうです。
自分の結婚式を完璧なものにしたいと思うあまり、人への気遣いを忘れてしまっていますね。浮かれる気持ちもわかりますが、せっかくお祝いに来てくれた友人は大切にしましょう。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。